これまで経営してきた風俗店を何らかの事情で手放すケースや、新規事業を始めるにあたって既存の風俗店を買い取るケースは少なくありません。売買に関心があるものの、風俗店の売買がどのようなものか分からず、悩んでいるという方もいるでしょう。事業の売買は大きなお金が動く取引となるため、慎重になるのは当然です。
この記事では、風俗店の売買に関する基礎知識に加え、メリットやデメリット・売買の方法・流れ・注意点などを詳しく解説します。
風俗店の売買はあるの?
ほかの業種と同じく、風俗店も売買することがあります。
風俗店の売買に関する基礎知識として、まず覚えておきたいことが取引の形式です。
風俗店の場合、原則として合併よりも「営業権譲渡」の形式で既得権を残したまま買収や売買を行うケースがほとんどです。
たとえば箱ヘルのように風俗店舗物件を用意して経営するためには、法律に則った営業許可の取得が欠かせません。営業権譲渡の形式を利用すれば、風俗営業許可など既得権を現在の法人や経営者側に残した状態で、店舗経営する権利のみを売買できます。
売買契約の締結後は、名義貸し状態を回避するために法人の代表者名を買主に変更する手続きも必要です。
風俗店を売買するメリット・デメリット
風俗店の売買は、売り手にとってまとまった現金を得られるチャンスです。経営状況が順調で人気の風俗店であれば、新規事業を立ち上げる資金が手に入ります。後継者のいない事業を手放したり、既存の人材の雇用を守りつつ風俗業から撤退したりしたいと考えている経営者に適しています。
一方で、経営状況によっては無理のある譲渡条件を突きつけられるリスクや、代金の支払いを渋られるおそれがある点は大きなデメリットです。複数店舗のうち一部を手放す場合は、競業避止義務が契約に付けられる可能性も考慮しましょう。
買い手にとってのメリットは、ゼロから新規店舗を立ち上げるよりも少ない労力で風俗店を開業できることです。会員や人材も引き継げるため、獲得する手間がかかりません。人気店ともなれば、エリア内での知名度や集客力が確立されており、風俗営業の経験が浅くても高い売上を期待できます。
一方で、買収する風俗店によっては経営難が続いていたり、負債を抱えていたりするリスクもあります。M&Aを契機に退職するキャストが出ないよう、対応に関する配慮も必要です。
風俗店を売買する際の注意点
風俗店の売買には、売り手にも買い手にもリスクがともないます。目先の利益やメリットのみを見て、安易に売買を判断することは避けましょう。
最後に、風俗店の売買における注意点を売り手側と買い手側に分けて解説します。
売りたい場合に注意すること
売る相手を探している方は、契約時の条件に加えて買い手の資力も重視しましょう。好条件で買い取ってくれるとしても、そもそも相手に資力がなければスムーズな支払いは期待できません。
相手の経営力によっては、売買後に「聞いていたような売上にならない」と契約解除を求められるおそれもあります。問題なく売買を完了させるためには、買い手が譲渡前の経営状況を引き継げるようにサポートすることも大切です。経営が軌道に乗れば、売買代金のスムーズな支払いにつながります。
交渉時に取り決めた義務も、厳守するように心がけましょう。たとえば競業避止義務が付けられた場合は、該当する地域内で新たに風俗店を営業すると、損害賠償を請求される可能性があります。
買いたい場合に注意すること
買い手側がトラブルを回避するためには、まず信用できる相手と契約することが大切です。必要な情報を開示しているか、待ち合わせ時間などの約束を守ってくれるかなど、多角的に交渉相手を確認しましょう。違和感を覚えた場合は、人気の風俗店であっても慎重に判断する必要があります。
買い手側の実力も、客観的に評価することが大切です。風俗店の売上を維持できるかどうかは、買い手側の手腕にかかっています。たとえば譲渡後もキャストのクオリティや売上を維持するためには、人材を継続的に確保できる人脈が求められます。
まとめ
風俗業界でも事業の売買は一般的であり、撤退時や新規事業を始める時に検討する方は少なくありません。ただし、風俗店の売買にはメリットだけでなくデメリットや注意点もあるため、しっかりと把握しておきましょう。
風俗店の売買の方法は株式譲渡と事業譲渡の2種類があります。それぞれの特徴を知り、自店に合った方法を選ぶとよいでしょう。なお、事業の売買には法律など専門的な知識が必要となるケースが少なくありません。スムーズな取引のためには仲介業者やコンサルなどの手を借りることも1つの手です。
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